2012年8月30日木曜日

"Deeper feat. COMA-CHI" / JariBu Afrobeat Arkestra

6月に発売された JariBu Afrobeat Arkestra  のアルバム"No More Patient"の中から、"Deeper feat. COMA-CHI" と "D.I.G." の2曲をカップリングした7インチシングルが来月9月中旬にリリースされます。



シンガー&ラッパーのCOMA-CHIさんとのコラボ曲 "Deeper" がフロアに流れる日が待ち遠しいです。[Side B]はその元曲となった"D.I.G."。しっかりとしたリズムに支えられ安定感バグツンの出来です。

 具体的なリリース日他インフォメーションはまた追ってお知らせいたします。



2012年8月22日水曜日

アナログテープ(1)

現在アナログレコーディングで使用されているテープを購入しようとすると品薄で結構苦労するようです。
というのもAMPEX社から引き継いでテープを生産していたQUANTEGY社が4〜5年前に生産から撤退してしまったからなのですが、実際にスタジオの方に聞くと手に入りにくいようです。

弊社は2009年にQuantegy 499を2巻譲っていただきアナログレコーディングのときはこれを使い回しています。1巻約28分録音できますので、2巻あれば約56分。交互に効率よく使うことによって、アルバム収録するだけの曲数も充分いけます。




湿気や高温に弱いのは言うまでもないのですが、特に保管に気を遣わずに今のところは変質等はなく使えているます。最強の敵は磁気なのですが、昔のエンジニアさんは保管もさることながら移動運搬に相当気を遣ったそうです。エレベータ/エスカレーターには一切乗らないとか、飛行機での移動は避けるとか、半分笑い話のようなことも実際に行われていたようです。

外的要因はもちろん、新たに録音する時はテープを上書きするため当然寿命はありますが(何回上書きできるかは保管の仕方や個体差でなんとも言えないそうです)、まだまだこれからも活躍しそうです。




RUBEN LOPEZ FURST / JAZZ ARGENTINO : EN LA UNIVERSIDAD

アルゼンチン出身のピアニストRuben Lopez Furst が1966,1967年に録音したピアノトリオ集。所有しているのは、もちろんオリジナルではなく、2007年にリイシューされたものです。

一曲目に収録されているIsraelを聴いた瞬間にBill Evans をすぐに想起させます。その後を聴いてみても Bill Evans そのものと言ってもよいほど影響を受けているのが明白なのですが、メランコリックさではRuben Lopez Furst の方が勝っている気がします。

もしかすると録音時に使用したテープの特長なのかもしれないのですが、ピアノの音が非常に丸っこく何とも言えない懐かしさを醸し出しています。
Bill Evans同様、正確なピアノ演奏のアーティキュレーションやスウィング感が相まり、メランコリックな中にも、コロコロと転がるような粒の細かいピアノの音が非常に気持ちよいです。

以下、YouTubeより音源を転載。

"Hombre Amaestrado" (Furst オリジナル作品)


"My Bonnie"(作者不詳)



2012年8月11日土曜日

EL JAZZ MEXICANO DE TINO CONTRERAS

Jazzman Records からリイシューされたメキシコのドラマーTINO CONTRERAS の2枚組LP。初めて聴いたときの衝撃はかなりのものでした。どのアレンジも一癖二癖あります。




一曲目に収録されている"Orfeo En Los Tambores"。キャッチーなイントロからいきなりやられます。



Ahmad Jamal でおなじみの"Poiciana"は、ボレロのリズムにコーラスが乗っかるイントロから始まり、Ahmad Jamal やMichel Camiloとは全く違った元気のよいテーマに繋がります。

5拍子の"Santo"は、なんやら"Take Five"を連想させるし、この曲の他にもクラシックのミサ曲を模した"Credo"、"Gloria"など本当に聴く人を驚かせます。

こちらでサンプルが聴けるようですので、是非チェックしてみて下さい。

2012年8月8日水曜日

「録音技術のピークは1972年」

先日いつもレコーディングでお世話になっている池袋にあるStudio Dede でピアノトリオの録音をさせていただきました。録音の合間にオーナーの方と雑談していたところ、「(音質から見た)録音技術のピークは1970年代にあると思うんです。」と言うと、すぐさま「録音技術のピークは1972年です。」ハッキリとおっしゃられました。

正確に年まで言うのでちょっとビックリしたのですが、どうやら、いわいるオープンリールのマルチトラックレコーダーのチャンネル数が16chから24chになった年のようです。

以降デジタルレコーディング技術の登場によって、技術の中心がデータの圧縮技術主体になっていきます。たとえ最終メディアがアナログ盤だとしても音質がイマイチな録音も見られます。1980年代にプレスされたアナログ盤の中にはデジタル録音のものも結構あるのですが、あきらかに薄っぺらい音質でがっかりします。これはクラシックのレコードだったのですが、1986年録音のものを購入して失敗(ジャケを良くみたらデジタル録音と書いてありました)、以降レコードを買う時は必ず録音された年を確認するようにしています。

最近、デジタル音源をテープに通して疑似アナログ録音のようなことをすることもあるようですが、聴き比べると別物というか、なんか本物ではないなという印象を持ちます。やはり録り音が大事なのは言うまでもないですね。

2012年8月4日土曜日

改めてのご挨拶


CDが普及してきた1980年代半ば以降、CDの音の透明度、雑音・音飛びのなさ、場所を取らないまさにコンパクトな装丁など、様々な利点から相当のCDを購入してきました。当時は音へのこだわりよりも、より多くの楽曲を知りたいという欲求の方が強く、週末になるとHMV、Tower Record、Virgin Record、Waveなどで10枚単位でよく購入したものです。

「アナログレコードはDJと一部の好事家のもの」という認識が一般になりましたが、一方で当時からアナログレコードの音の良さについては常に議論され続けてきました。私は、言われてみれば、アナログの音の方が耳に優しいなあくらいにしか感じていなかったと思います。ただ、「音の良さ」は音楽を聴く環境やプレイヤーによって異なるのも事実で、例えば電車の中や街中でポータブルプレイヤーで再生した場合、アナログの良さはあまりわかりません。むしろ、そういう聴き方の方が、家でゆっくり音楽を鑑賞するより主流になってしまい、自分自身を含めて多くのリスナーがCDからのコピーや圧縮されたmp3に慣れてきてしまったのだと思います。

デジタル音というのは、そもそもが豊富な情報量を持つアナログ音の抜粋に過ぎないということを認識したのは、恥ずかしながらここ数年のことで、折しもCDの販売量が劇的に減少し始めた時期にあたります。アナログ音の良さについてはちゃんと研究してみる価値はあると思い始めました。

CDに魅力がなくなった原因はいろいろあると思いますが、情報量つまり音の品質の限界というのも原因の一つであるような気がしています。現在配信で主流となっているmp3音源は確かにスカスカな音質ですが、近い将来、音データの圧縮技術とインターネット技術の向上によって、CDよりも格段に情報量の多い音源データが簡単にダウンロードされる時代がくるはずです。

そうなると、アナログかデジタルかという議論はもう趣味の領域に入るのかもしれませんが、大音量で聴いても耳を疲れさせない優しい音に魅了され求めるリスナーは絶えることはなく、今後もレコード録音の技術を将来に受け継ぐことは意味があることだという思いを強く感じています。

Soul Garden Recordsというレーベルを立ち上げた時は、そこまで深く考えてはいませんでしたが、このたびアナログレコードのプレス代行を始めさせていただくにあたり、希有なアナログレコーディング技術、プレス技術、さらにそれらを享受するアナログレコード文化を受け継ぎ、再普及させることに少しでも貢献できればという思いをさらに強く抱いております。